汗かきの人、汗かきではない人、それぞれの体質はさまざまですが、普段から他人よりも多く汗をかきやすいと感じている方もいるのではないでしょうか。適度な汗は老廃物を出し、健康的で良いですが、あまりに多いと日常生活にも支障をきたすことがあります。ここでは漢方の観点から汗を多くかきやすいタイプや原因を説明します。
多汗症について千幸堂の3つの考え方
多汗症になり、手や足に必要以上に汗が出てしまうと、人とのコミュニケーションにおいて、引っ込み思案な気持ちになってしまいます。仕事においても、紙がべたべたになったり、マウスや電話の受話器を持つときにも苦労しますね。
緊張感と水の巡りの悪い体質
緊張した時に汗が良く出る方は、ストレスを感じやすい体質なので、ストレスに強くなる漢方をお勧めします。栄養的にはたんぱく質をしっかりとること、そして副腎を鍛えると良いのです。水の巡りが悪い方は、水分代謝が良くなる体質改善そして腎の働きを良くする漢方を辛抱強く続けると改善していきます。
いずれにしても、病院で多汗症の治療もいろいろありますが、根本的に改善することを併用した方がうまくいきます。是非、漢方をお試しください。
多汗症で悩んでいるときに漢方を使うメリット
多汗症の漢方治療の特徴として、オーダーメイド処方があげられます。症状や程度は人によりさまざまですので、一人ひとりの体質や症状に合わせて処方されます。それぞれのストレス環境や生活習慣、身体の状態、体質、気候や季節変化といったこと細かい違いを見極めて処方するのが漢方医学の素晴らしいところです。
そのため処方される漢方薬も人によって違ってきますし、これが正解ということもありません。遺伝による体質も違いますし、職場環境、気温や湿度なども異なるのが当然のことです。体質に合った漢方を処方されることで、ホルモンバランスの改善や生理に伴う症状の改善も見込めるので、女性には嬉しいことも多いです。体質改善により多汗症の症状の改善も期待できます。
多汗症とは
あらためて多汗症とはどのような症状でしょうか。人に言えず悩んでいる方も居ると思います。現代ではストレスを抱える要因も多く、7人にひとりが多汗症であり、年々増加しているというデータもあるくらいです。薬を使って汗を止める方法もありますが、薬の副作用でむくみや、逆に汗が出にくくなり熱中症の危険につながる場合もあります。こちらではまず多汗症についてご紹介します。多汗症にも種類があり、その症状や原因とされる要因も違いますので詳しく解説していきたいと思います。
種類
多汗症には全身性多汗症と局所性多汗症の2つのタイプがあります。全身性多汗症は、その名の通り体全体に大量に汗をかくタイプです。こちらは結核や糖尿病、神経疾患などの病気が原因の一つとされています。一方、局所性多汗症は、手のひらや足の裏、脇、顔など、全身ではなく身体の部分的に大量に汗をかくタイプです。緊張などが原因とされていますが、神経の損傷や腫瘍が一因となっている場合もあります。
症状
多汗症の症状には、人によって程度の差はありますが、緊張すると汗が出て収まらなくなってしまうタイプの人、手のひらに汗をかいてしまい握手できない人など、色々な症状に悩まされている人がいます。夏場の気温の高い場所はもちろんのこと、気温に関係なく一年中不快な汗をかいてしまうというのが多汗症の症状です。
多汗症は、汗をかくだけではなく、身体がだるく、めまいや耳鳴りといった症状が出てしまう場合もあります。
- 背汗がひどく、気になって眠れない
- 人前に出たり、緊張をすると汗をかきだす
- 一度汗をかきだすと収まらず、メイクなどがダメになってしまう
- 頭に汗をかき過ぎて、メイクや日焼け止めすら塗れない
- 多量の汗のせいで一日に着替えが何枚も必要
- 運動したわけでもないのにいつも汗が吹きでている
- 試験の時に紙を汗でダメにしてしまう
- 汗で書いた文字が滲んでしまう
- 多量の汗で肌荒れが起きる
- 手のひらに汗をため、恥ずかしくて手をつなぐことができない
- 足の裏の汗が多く、靴下をすぐにダメにする
汗をよくかく人のことを「汗っかき」といいますが、多汗症の診断にはいくつか基準があり、原発性局所多汗症診療ガイドライン2015年改訂版では、局所的に過剰な発汗が明らかな原因がないまま6カ月以上認められ、以下の6症状のうち2項目以上当てはまる場合を多汗症と診断しています。
- 最初に症状が出るのが25歳以下であること
- 対称性に発汗がみられること
- 睡眠中は発汗が止まっていること
- 1週間に1回以上多汗のエピソードがあること
- 家族歴がみられること
- それらによって日常生活に支障をきたすこと
日本皮膚科学会ガイドライン
多汗症の症状は、自信をなくしたり、積極的に行動することを制限されることにもつながります。症状がない人にとっては、理解できないことも多く、一人で悩んで抱えてしまうのではないでしょうか。人間関係や日常生活に支障をきたしてしまうこともあります。精神的な面に左右され、汗をかくことが多いのが多汗症の症状です。現代の医学では、交感神経が過敏になっていることが一因と考えられています。
原因
多汗症の原因は、イライラや精神的ストレスが主な原因とされています。不安や自律神経の乱れにより、交感神経が過敏になることも理由の一つです。体調が優れず、疲労が発散できずに蓄積されているときも出やすいとされます。更年期障害も原因の一つであり、ホルモンバランスの乱れも多汗症の一つの原因です。それに加えて肥満や食事バランスも多汗症の原因となります。
遺伝や身体機能の失調などさまざまな原因があげられますが、大きな要因とされているのが身体の機能や心身のバランスの崩れです。
漢方における不眠のアプローチ
多汗症とは漢方ではどのようなアプローチをするのでしょうか。ここでは漢方の観点から詳しく多汗症に触れていきます。
表虚
まずは表虚についてです。表とは人体の表面付近を指します。表面の浅い部分です。表虚とは、この表が機能低下している状態を指しますが、私たちが知っている症状として、急性熱性疾患の初期にみられる、悪寒や熱感といった症状が表の症候となります。首上の咽喉痛、頭痛、首の強張りも表虚からくる症候です。表の機能低下を正常に戻すため、治療薬として桂枝が代表的にあげられますが、黄耆なども用いられます。
裏熱
裏とは人体の奥のことです。人体の中心部を指します。裏熱とは、身体の内部に熱がこもっている状態ですが、その熱により口が渇き冷たい飲み物を欲します。その結果、発汗し、その熱を冷まそうと多汗になる状態です。裏熱に使われる生薬として代表的なのは白い石膏は、内部にこもった熱を冷ましてくれます。自汗を調整する漢方である五苓散なども裏熱に用いられ、夏バテや二日酔いにも有効です。
営衛不和
営衛不和とは、陰陽のバランスが崩れた状態をいいます。脈内を巡る営気と脈外を巡る衛気は、陰陽の関係でバランスを保っていますが、栄衛不和はその営気と衛気がうまく機能していない状態です。その原因には、虚弱体質や長期の不眠、風邪などがあげられます。気は身体のエネルギーですので、不足すると元気がなくなり、疲れやすくなります。気が足りないため、汗をコントロールできなくなるという状態です。その他、全身の筋肉がだるく痛む、悪風や発熱といった症状が主になります。漢方薬では、体表の気を補うため桂枝湯などが用いられています。
漢方についての理解を深め、心身ともに健康な状態を目指してみましょう。
多汗症は生活環境でのストレスや、精神面が大きな理由のひとつとなる場合が多くあります。しかしながら、ストレスをためないようにというのは難しいことです。目にみえるものではありませんし、どうしても知らず知らずのうちに蓄積してしまうものでもあります。
多汗症であっても他の症状であっても,心身ともにバランスの取れた状態を保つことは身体の健康に大きく関わってきます。日ごろから睡眠や休養をたっぷり取り、食生活やストレス環境など、自身で改善できる点は良くしていきましょう。それに加え漢方学の観点から体質改善を行っていきましょう。
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