不妊治療の中で一番問題となっているのは、母体の高齢化です。高齢というのが何歳かというと38歳からです。
37歳まではまだ妊娠する力は十分に保たれている方が多いのですが、
38歳を過ぎると年々、急激にその力が衰えてきます。それでも、
38歳から42歳までの方は妊娠力が残っているという状態です。
ところが43歳を過ぎるとさらに急激に妊娠力が急低下するのです。
そこで、どのようにこの時期を乗り越えていったらよいのかご紹介いたします。
卵子の在庫が分かる!卵子年齢の目安になるAMH検査とは?
AMH検査とは、卵胞から分泌される血液中にある抗ミュラー管ホルモンの数
値を測定するもので、この数値から卵子の在庫数の目安が割り出されます。
不妊検査ではある特定の時期にしか行えないものもありますが、AMH検査は
いつでも行える検査です。
AMH検査の結果
個人差が大きいので基準値にあまり意味はないともいわれています。しかし、
数値が低ければ低いほど卵子の数は少なく、1.0ng/ml以下の場合、卵巣年
齢は46歳以上と判定されます。
逆にAMH値が4.0~5.0ng/ml以上と高すぎる場合は、不妊の原因となる多嚢
胞性卵巣症候群(PCOS)が疑われます。
卵子の在庫数によってわかることとは?
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)でない限り、卵子の数は多いほうが良いのですが、卵子の数とその質
はイコールではありません。AMH値がかなり低い場合でも、ゼロであっても、それを知らずに自然
妊娠した方もいます。AMH値がゼロだからといって卵子が1つも無くなったということではないから
です。
ただし、AMHの値が低い場合は卵子の数が残り少なく、妊娠できる期間が短いと考えられます。不
妊治療を行う際にはタイミング法を行う期間を短くし、早めにステップアップして人工授精、体外受
精を行うことがあります。
また、AMH値は排卵誘発によってどれくらいの卵子が育つかが予想することにも使われます。
卵巣年齢というと、妊娠力の全てを判定するもののように思ってしまうかもしれませんが、AMHのみ
が絶対的な基準というわけではありません。
妊娠の確率を高めるには、卵子の数よりも質が重要です。数を増やすことはできないことですので、
まずは卵子の質を高めていく努力からはじめましょう。
卵子の質を左右する一番の指針は、その人の年齢です。女性は誕生したときに既に一生分の卵子を卵巣の中に持っているため、
卵子は女性の年齢の分だけ老化してしまい、それが質の低下につながります。
卵子の質を高めるセルフケアとして最も重要なのが、「血流を良くする」こと。ストレスや冷えは妊活にとって
大敵といわれていますが、それ自体が妊娠力を低下させるわけではありません。
人間の身体は、ストレスや冷えによって血流が滞ります。血流は人間の臓器をつなぎ、それらが働くために
必要な物質を運んだり、不必要なもの、有害なものを排出したりする役割を担っているもの。血流が悪いと
臓器の一部である卵巣、子宮の働きも悪くなり、それが卵子の質の低下へとつながるのです。
今日から始めよう!血流を良くするセルフケア
運動不足の解消
血流にとってポンプの役割を果たしているのが筋肉です。運動不
足によって筋肉量が減ってしまうと、その分血流が悪くなります。
普段はエレベーターに乗っているところを階段で上がってみる、家
や会社の一駅手前で電車やバスを降りて歩くようにする。こうしたで
きることから始めてみてはいかがでしょうか。
・おなか、腰周り、太ももは冷やさない
おなか、腰周り、太ももとには身体全体の約7割の筋肉があります。最も血流が多いのは筋肉で
すから、それらの部分を温めると効率的に血流を良くすることが可能です。
入浴の際は、ややぬるめの38~40℃くらいの温度で、全身浴なら10分ほど、半身浴なら30分以
上つかると効果的といわれています。そして、入浴後は身体が冷える前に、できれば30分以内
に布団に入りましょう。
東洋医学の知恵を生かして
不妊治療に、漢方は非常に有効だということは、昔からよく知られています。
ただし、だれでも有名な当帰芍薬散で良いというわけではないのです。
特に高齢の方は、その方にあった体質の漢方を服用しないと効果がありません。
舌の色を見たり、体質診断を行い、専門の薬剤師あるいは登録販売者にご相談ください。
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