漢方ブログ

#10 春、こだわりをほどく

イライラも、不安も、季節のリズムが教えてくれること 

理由もなく気持ちが沈む日、ありませんか。春はそういう季節です。
東洋医学では、それを「体と季節のずれ」と考えます。
自分を責めなくていい——そう知るだけで、呼吸がひとつ楽になるかもしれません。


先日、ふと理由もなく涙が出そうになったことがありました。

春の風は暖かいのに、心だけがどこか追いつかない。皆さんにも、そんな経験はありませんか。

実はそれ、あなたの中で”季節が動き出した”サインかもしれません。

窓の外は、白く霞んだ空。「花粉ですかね」なんて軽口を叩きながらも、春が来たというだけで、なんとなく心がざわざわする。そんな方が、この時期たくさんお店にいらっしゃいます。

「最近、眠りが浅いんです」
「些細なことでイライラしてしまって」

そうおっしゃる方に、私はいつもこうお伝えしています。「それは不調というより、体が季節に追いつこうとしている時間なんですよ。」

春の心が揺れる、その理由

東洋医学では、春は「肝(かん)」の季節とされています。

肝は”気の流れ”と”感情のバランス”を司る臓器。ストレスや我慢が続くと「肝気鬱結(かんきうっけつ)」といって、気の巡りが滞り、イライラしたり、胸が張ったり、ため息が増えたりします。

つまり、春に気持ちが不安定になるのは、心が弱いからじゃないんです。体と季節のリズムが、ほんの少しずれてしまっただけ。

これを知ったとき、私自身、すっと肩の力が抜けました。「自分を責めなくていいんだ」と。皆さんにも、まずそのことをお伝えしたくて、今回のテーマにしました。

「心の衣替え」をしてみませんか

春は、心にも新しい風が吹きますね。別れや出会い、環境の変化。気づかないうちに、心はぎゅっと緊張を抱えています。

私もこの時期、つい「こうあるべき」「もっとしっかりしなきゃ」と自分を追い込みがちでした。でも還暦を前に、ようやく思えるようになったんです。

こだわりを、少しだけ手放してみよう、と。

“こうあるべき”をゆるめていくこと。それが、春の”心の衣替え”なのかもしれません。

食卓からできる、小さな整え方

ここからは具体的なお話です。漢方や薬膳の考え方では、春は「酸味」と「緑の食材」を積極的に取り入れるとよいとされています。

おすすめの食材をご紹介しますね。

・菜の花、山菜(ふきのとう、たらの芽など)
—春の苦味が、冬の間にたまった老廃物の排出を助けてくれます。
・柑橘類(レモン、すだち、グレープフルーツ)
—酸味は肝の働きを助け、気の巡りをなめらかにしてくれます。
・梅干し
—昔ながらの知恵ですが、酸味とミネラルで疲れた体をやさしく整えます。

毎日の食事に少し意識を向けるだけで、体は変わります。食べ物で体を整えることは、同時に心をやさしくなだめることでもあるんです。

暮らしの中でできる”ゆるめる”習慣

もうひとつ、この季節に意識していただきたいのが、”整える”よりも”ゆるめる”こと。

・夜はスマホを早めに閉じて、温かいお茶の時間を。
・朝は少しだけ早起きして、光を浴びながら深呼吸を。
・がんばりすぎた日は、「今日はこれでよし」と自分に声をかけてあげてください。

春の風は気まぐれで、少し強い日もあります。でもその揺れがあるからこそ、私たちは季節を感じられる。そう思うと、不安定さも少しだけ愛おしくなりませんか。

千幸堂にできること

私が長年、春のこの時期にお客様におすすめしているものがあります。

気の巡りを助け、肝の働きをサポートする漢方処方。そして、体の内側から細胞を元気にする栄養素の組み合わせ。千幸堂では、お一人おひとりの体質やお悩みに合わせて、あなただけの”春の処方”をご提案しています。

「なんだか説明できないけど、飲み始めてから気持ちが軽くなった」
そうおっしゃる方が多いのは、体が本来の力を取り戻しているからだと、私は確信しています。

理屈では説明しきれない部分もあるけれど、長年の経験と、お客様の変化を見てきた実感がある。それが、千幸堂の強みだと思っています。

春を、もう一度軽やかに

こだわりをほどいて、もう一度、軽やかに歩き出しましょう。春は、心と体の「リセットボタン」を押す季節です。

春の不調は、心のSOS。でもそれは、あなたが”変わり始めている”合図でもあります。自分を責めず、季節と一緒に、少しずつ”ほどけて”いきましょう。

つらい時も、元気な時も、千幸堂はいつもそばにいます。気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談くださいね。

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