咳がなかなか止まらないので耳鼻科で診てもらったら、慢性鼻炎による鼻水がのどに流れているための咳と診断されました。薬はアレルギー性鼻炎の薬しか出ないし長引いています。漢方で何とかなりますか?(20代女性)
漢方の千幸堂薬局では『後鼻漏の漢方相談』にメールやLINEで対応しているのでお問い合わせください。
後鼻漏は、鼻水が喉の方へ流れ落ちる症状です。鼻水が喉に垂れてくるため、喉の不快感や異物感、咳き込み、咳払い、痰絡み、さらに睡眠障害、いびきなどの症状として現れます。
実際には、鼻水は健康な状態でも、喉の方に流れ落ちて排泄されているのですが、通常はそれに気付くことはありません。しかし、鼻水の量が多くなったり粘っこくなったりすると、後鼻漏として自覚するようになります。
量が病的に増えているわけではないのに、神経が過敏になっているために、後鼻漏と感じてしまう場合もあります。
後鼻漏が生じる背景には、多くの場合、副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎などの疾患があります。上咽頭部の炎症や、神経過敏、逆流性食道炎、加齢などが関係している場合もあります。
漢方では、後鼻漏は『痰飲(たんいん)』と関係が深い症状と捉えています。痰飲とは、人体の津液が水分代謝の失調などにより、異常な水液と化したものです。痰飲が体内に停滞すると、身体のバランスが崩れ体調が悪化します。痰飲により健康を損ねている証を痰飲証といいます。
後鼻漏の漢方治療はこの痰飲を除去することが基本になります。漢方で痰飲を排泄し、身体のバランスをとっていくことが大切だと考えます。
後鼻漏セルフチェック
後鼻漏の可能性が高いかどうかセルフチェックしてみてください。チェックが多い方は要注意です。
- 鼻水がのどの方に流れたり、口の中に溜まったりする
- 鼻をかんでもつまったり、なかなか出てこなかったりする
- 痰がからみやすく、吐き出すことがよくある
- 咳払いや、せき込むことがよくある
- のどがつかえたり、声がかすれたりする
- 口臭がする
- 味がよくわからない
- あお向けでは息苦しい感じがして眠りにくい
鼻があふれる原因(後鼻漏の原因)
漢方では、主に以下の3つの原因を考えます。
- 身体の中の余分な水分があふれていると考えます。余分な水分である痰飲を排泄するようにします。
- 痰飲が冷えや熱により変化して鼻からのどに降りてきます。それぞれの原因を排除していき、のどに落ちたり、へばりついていく鼻水を減らしていきます。
- 鼻の粘膜が弱いために起きている、アレルギー性鼻炎の体質改善をしてきます。そのために、栄養素を用いて元気な血液を増やし、粘膜を丈夫にしていき、アレルギー性鼻炎そのものを改善していきます。
後鼻漏を改善する方法はあるのでしょうか?
漢方の見方から漢方の千幸堂薬局のアプローチ
漢方ではそれぞれの身体の体質から後鼻漏の原因を考え、アプローチしていき、身体全体が健康になり、そのことにより快適な毎日が送れるようにしていきます。
- さらさらと水のように流れ落ちてくるタイプなら、「寒痰(かんたん)」証です。寒痰は、痰飲が寒邪と結び付いたものです。咳嗽、くしゃみ、呼吸困難、冷え症などを伴うことがよくあります。アレルギー性鼻炎にみられることがある証の1つです。漢方薬で寒痰を除去し、後鼻漏を治療します。
- 後鼻漏が黄色く、粘り気があるようなら、「熱痰(ねったん)」証です。痰飲が熱邪と結び付き、五臓の肺の機能(肺気)を阻滞している証です。痰も多く、後鼻漏や鼻水、痰は、いずれもすっきり排泄されません。咳嗽も伴います。熱痰を排除する漢方薬を用い、後鼻漏を治します。
- 鼻詰まりが強く、後鼻漏が粘稠で黄色いようなら、「肺熱(はいねつ)」です。肺の熱を取っていきます。
- 後鼻漏に口臭や口渇を伴うようなら、「肺陰虚(はいいんきょ)」証です。五臓の肺の陰液が不足している体質です。陰液とは、人体の構成成分のうち、血・津液・精を指します。陰液の不足により相対的に熱が余って熱邪となり、炎症や、口臭、口渇が生じます。
何年にもわたって後鼻漏の治療を続けていても、治らない方もおられます。そういったときには、ぜひ漢方の考え方を取り入れてみませんか?
抗生物質や、抗アレルギー剤ばかり長年続けていても、対症療法でしかありません。その方の後鼻漏の特徴をつかんで漢方でアプローチしてみると、身体全体のバランスが取れるので、後鼻漏のつらさから解放されるかもしれません。
痰飲を作るのは脾、胃、肺に関係があります。それぞれの臓器が弱っていると、痰飲が余分に作られます。さらに食毒や気力低下など身体のバランスを崩すことをすると、余分な水分が身体の中にたまってきて痰飲となります。
胃腸機能を高めたり、気の巡りを良くしたり、身体の冷えや熱のバランスをとることで、その方に合った後鼻漏を改善する漢方をえらぶことができます。
六君子湯、補中益気湯、辛夷清肺湯、荊芥連翹湯、葛根湯加川芎辛夷、麗澤通気湯、千金内托散など、本当に様々な漢方薬があります。ぜひご自分の体質に合った漢方をお試し下さい。
西洋薬だけのアプローチではうまくいかない時には、ぜひ、根本的に解決して丈夫な粘膜を作り、鼻水がのどに降りてこない身体づくりをしてきましょう。
後鼻漏についてよくある質問
まとめ
後鼻漏の原因はたくさんあります。しかし、西洋医学の世界では治療法が画一的な部分が多いです。それに対して漢方は、その方の痰飲のでき方や、冷えや熱による体質の差を見つけ出し、その方に応じた体質改善ができます。
西洋薬で後鼻漏がなかなか治らない方は、ぜひ漢方薬を試していただきたいと思います。
大切にしたいのは、対症療法ではなく、根本的な改善で身体全体が元気になることです。身体の水分バランスを整えたり、感染しないように免疫力を高めて蓄膿症状が出にくい丈夫な体にすることです。
さらに、漢方の千幸堂薬局では粘膜そのものに注目し、粘膜を強化することにより、鼻腔内の炎症による粘液が過剰に作られない体を目指しています。
食養生と管理栄養士の指導により、白い砂糖や油成分などの摂取バランスをとっていきます。特に粘膜を丈夫にするには、ベータカロテンやビタミンC、たんぱく質が必要です。
漢方相談お問い合わせフォーム
LINEでお問い合わせ
LINEでもご相談を受け付けております。どうぞお気軽にご利用下さい。