このページでは冷え性による体の悩みを解決したい方に、漢方薬で冷え性を効果的に改善するためのコツを体質別にご紹介します。
冷え性を漢方薬で効果的に改善するためのコツ
- 漢方薬を選ぶ前に、ご自身の漢方の体質をできるだけ詳細に把握すること
- ご自身の体質に応じた養生ポイントを生活習慣に取り入れていくこと
この二つが冷え性を漢方薬で効果的に改善するためのコツです
脾虚 (ひきょ)体質の冷え性
脾虚 (ひきょ)は、熱をつくるのが弱い体質です。胃腸(脾)が弱いと、飲へ物の消化吸収がよくないので、熱やエネルギーを十分に作り出せずに冷えてきます。
- おなかが冷えている
- 軟便や下痢によくなる
- 食欲不振になりがち
- 手足がだるい
- 舌が白っぽい
などが、脾虚 (ひきょ)体質の特徴です。
養生ポイント
- 一度にたくさん食べないで、1回の食事量を減らして食事回数を増やすなどして調整してみる
- 消化の良いものよく噛んで食べるようにする
- 生もの、果物、冷たい飲食物、など、体を冷やす食べ物を避けて、胃腸や体を冷やさないようにする
- できるだけ薄着を避けて、体や特にお腹を冷やさないようにしてみる
- 日中は体をたくさん使って動き、夜はよく休んでたっぷり寝て、次の日、また、体をたくさん使って動くように、を繰り返して、エネルギーを消費することに体を慣れさせる
脾がはたらきやすくなるように養生します
おすすめの漢方薬
人参湯(にんじんとう)、六君子湯(りっくんしとう)など
漢方薬で胃腸の機能を高めることが基本になります
血虚(けっきょ)体質の冷え性
血虚(けっきょ)は、体内を循環する血液量が少なく、熱を体の隅々に運ぶのが弱い体質です。少し寒くなると血行が滞って、体温が行き渡らなくなりがちです。
- 手足の先から太ももの内側まで冷える
- 動悸がある
- 爪がもろくなりやすい
- 筋肉がけいれんすることがよくある
- 顔色に艶がなく、くすみがちである
- 目が疲れやすく、かすむことがある
- 目がすぐに乾燥する
- 肌や髪の毛も乾燥しがちである
- 月経痛が月経中から後半にある
- 白っぽい色の舌をしている
などが、血虚(けっきょ)体質の特徴です。
養生ポイント
- レバー、肉、牡蛎、ほうれんそう、など、血をつくるのに役立つ食べ物を少しずつ食事に取り入れてみる
- 昼間は生活の中でよく体を使うようにして、夜は充分に睡眠をとる。また、疲れたら休むようにする
- 楽しいことをたくさん思い浮かべて、自分を楽しませる工夫をする
血を増やして、血の巡りがよくなるように養生します
そうすると血と一緒に気の巡りもよくなります
おすすめの漢方薬
婦人宝(当帰や地黄)など
漢方薬で血(けつ)を補うことが基本になります
血瘀(けつお)体質の冷え性
血瘀(けつお)体質は、血液があっても流れが悪い体質で、熱を体の隅々に運ぶ力が弱く、体温が行き渡らなくなります。
- 顔や唇の色が暗い
- シミができやすい
- 唇や歯茎の色が紫がかっている
- 血管がクモの巣上に浮き出ている
- 子宮筋腫や卵巣嚢腫など塊上の病態が身体にできやすい
- 慢性病を起こしやすい
などが、血瘀(けつお)体質の特徴です。
養生ポイント
- 身体を冷やすような飲食物や薄着などを避け、自分の持っている熱を失わないようにする
- 一度にたくさん水を飲んだり、余分な水分をとりすぎないようにする
- 脂っぽいものや味の濃いものを減らし便秘に気をつけて、血液が汚れないようにする
- 生活の中でなるべく体を動かすことが増えるように心がける
- 楽しいことをたくさん思い浮かべて、自分を楽しませる工夫をする
血の流れが悪くならないように養生します
おすすめの漢方薬
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)など
漢方薬で血を身体全体に流し巡らしていくことが基本になります
気滞(きたい)体質の冷え性
気滞(きたい)は、ストレスや緊張がなどによって、血液循環と連動する気の推動作用がスムーズでなくなり、熱を体の隅々に運ぶ力が弱まって、体が冷えてきます。
- 緊張やストレス
- イライラや神経質
- 頭痛や胃痛
- げっぷ、おならなど腹部膨満感
などが、気滞(きたい)体質の冷え性の特徴です。
養生ポイント
- 生活の中で怒り、イライラ、くよくよが少なくなるように工夫してみる
- 自分の好きな香りをかぐ、柑橘系のにおいがお勧め
- ジャスミンティーやミントティーなどを飲むと良い
- 楽しいことをたくさん思い浮かべて、自分を楽しませる工夫をする
- わくわく楽しい気分で、散歩したり、体を動かしたり、大きな声で笑ったり、気分転換をしてみる。
気の巡りがよくなるように養生します
おすすめの漢方薬
四逆散(しぎゃくさん)半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)など
漢方薬でストレスや緊張などを緩めて、気の流れを調整することが基本になります
腎陽虚(じんようきょ)の冷え性
腎陽虚(じんようきょ)は、生きるために必要なエネルギーを貯えている腎が弱いと、熱を蓄えておく力も弱くなり、冷え性体質になっています。
- 寒がり
- 腰から下の下半身が冷える
- 体がだるく、トイレが近い
- 水の様な便になることが多い
- 食欲低下している
- むくみがある
などが、腎陽虚(じんようきょ)体質の冷え性の特徴です。
養生ポイント
- 身体を冷やすような飲食物や薄着などを避けて、自分の持っている熱を失わないようにする
- 生活の中でよく体を動かして、おなかをすかして、よく食べるようにする
- 夜は早く寝るようにして、睡眠や休息を上手とり、体力を充分に回復させる
- 気分転換を上手にして、疲れをため込まないで、わくわく楽しい気分を保つ
気を遣うように場所を避け、心が安定する居場所で体力を増やすように養生します
おすすめの漢方薬
八味地黄丸(はちみじおうがん)、鹿茸(ロクジョウ)など
漢方薬で腎を補うことが基本になります
冷えは万病のもと
冷え性は、体が冷えることの不快感やつらさもありますが、冷えが原因となって引き起こされる症状も多いので、早めに改善しておきましょう。冷えることで免疫力も下がり、代謝も下がり、そして解毒力も下がります。その影響でたくさんの症状が発生してしまいます。
- 肩凝りや腰痛
- 頭痛や神経痛
- 鼻炎や花粉症などのアレルギー疾患
- 自律神経失調症
- 腹痛や下痢
- 膀胱炎や頻尿
- 生理痛や生理不順
- 不妊症
- 風邪をひきやすい、など
冷え症は免疫力低下の引き金にもなるので、今は特に気をつけたいですね!