なかなか妊娠しないので病院へ行ってみたところ、排卵していないといわれました。生理が来ているのになぜ?と意味が分かりませんでした。妊娠するには病院での治療が必要で、検査をするように言われましたが、その前に漢方で排卵するようになりますか?(30代女性)
漢方の千幸堂薬局では『無排卵月経の漢方相談』にメールやLINEで対応しているのでお問い合わせください。
月経時に出血はみられるものの排卵が伴っていない状態を無排卵症と言います。ほとんどの場合、無排卵を自覚することはありません。よくみられる月経症状は、月経異常(頻発月経、希発月経、過多月経、過長月経、過少月経、過短月経)、不正出血、不妊などです。発症の原因としては、過剰なストレス、無理なダイエット、喫煙、激しい運動、不規則な生活習慣のほか、多嚢胞性卵巣症候群、服用薬(抗うつ薬 など)の影響などが考えられます。
また、この方のように月経が毎月あるからといって、排卵が毎月あるとは限りません。
卵巣機能が発達途上の思春期や卵巣機能が低下していく更年期の世代でも無排卵月経がよくみられます(生理的無排卵)。お身体のことでご心配な方は、何でも遠慮なくご相談ください。
無排卵は、ホルモン剤を投与するとほとんどが排卵を始めるので、病院での検査や治療が主流になっています。しかし、無排卵になる原因そのものを根本的に改善しないと、身体全体の健康が整っているわけではありません。そのため、ホルモン剤の投与をやめると排卵も止まります。
東洋医学で体全体のバランスを取り、自然に排卵できるようになることが大切だと考えます。
無排卵とは
無排卵とは、“排卵のない状態”です。女性のからだでは、毎月卵子のもととなる「卵胞」が育ち、一定の大きさになると卵巣から飛び出します。これが「排卵」です。通常、生理が終わって約14日後に排卵しますが、様々な原因でこの排卵が行われていない状態が『無排卵』です。
無排卵月経セルフチェック
無排卵月経がある可能性が高いかどうかセルフチェックしてみてください。チェックが多い方は要注意です。
- 生理の出血量が少ない又は多い
- 少量の出血がダラダラ続く
- 生理周期が安定せずバラバラ
- 月に2回生理がくることもある
- 基礎体温が低温期と高温期の差がなく一相性になっている
基礎体温でみつかることも
正常な排卵がある場合、基礎体温は月経から排卵までが低温、排卵から次の月経の始まりまでは高温を示します。 そのため基礎体温のグラフは、低温期と高温期の二相性を描きます。 一方、無排卵月経の場合は高温期がなく、グラフは二相性にならないのが特徴的です。
おりもの
無排卵月経では、月経周期に伴うおりものの変化がないという特徴があります。 無排卵月経の場合、体が常に卵胞期~排卵期の間のような状態になるので、月経前になってもおりものの量が常に多く、つまむと伸びたり、サラサラと水っぽかったりする状態が続きます。
無排卵と排卵検査薬
排卵検査薬は無排卵を確認するのには向かない上、根本的に身体に不安があるのであれば、決しておすすめできる方法ではない、と言えます。排卵検査薬が全然陽性にならないという理由で無排卵を疑うこともあるかもしれませんが、LHサージは確認できるのに排卵が来ないというパターンもありますので、排卵検査薬で無排卵かどうかを調べようとしても、いまいち信用はできないということです。
排卵しない原因(無排卵月経の原因)
- 高プロラクチン血症
- 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
- 黄体化非破裂卵胞症候群(LUF)
- 卵胞刺激ホルモンの分泌低下
- 早期卵巣不全
- 肥満、痩せすぎ(無理なダイエット)
などが考えられます。
東洋医学では、主に以下の3つの原因を考えます。
- 卵子の栄養が不足している、元気がない、血液量が少ない状態『気血両虚(きけつりょうきょ)』
- ストレスが多く、血液循環が悪くなっている状態『気滞瘀血(きたいおけつ)』
- 年齢や腎の働きの弱りによる卵巣機能低下状態『腎虚(じんきょ)』
無排卵月経を改善する方法はあるのでしょうか
病院での治療法は?
妊娠を希望する場合、排卵誘発を行います。排卵誘発には「クロミフェン療法」と「ゴナドトロピン療法」があります。妊娠を希望しない場合、ホルモン療法の「ホルムストルム療法」と「カウフマン療法」を病状に応じて使い分けます。偶発的な妊娠を避けたい場合は「低用量ピル」を使用することも可能ですが、自費診療となります。
初潮開始後の数年間や更年期の女性では高い頻度で「無排卵周期症」を認めます。月経不順や貧血で日常生活に支障をきたしている場合は治療の対象となりますが、病状によっては経過観察とする場合もあります。
過度のダイエットや運動による「無排卵周期症」には、適正な食事や運動メニューの指導も必要です。若年女性でも、長期の女性ホルモンの低下は骨塩量の減少による骨折を招くことがあります。
「無排卵周期症」の原因として「多囊胞性卵巣症候群」、「高プロラクチン血症」、「甲状腺疾患」などの診断がなされた場合、それぞれの疾患に対応したホルモン療法治療を優先します
漢方の見方からのアプローチ
東洋医学ではそれぞれの身体の無排卵の原因を考え、アプローチしていき、身体全体が健康になり、そのことにより元気な卵子を排卵できるようにしていきます。
- 排卵ができるように卵子の栄養である気血の不足した『気血両虚(きけつりょうきょ)』を改善します
- 排卵を起こす力となる気血の流れの滞った『気滞瘀血(きたいおけつ)』を改善するために気の巡りを改善しストレスに強い体にします。また血流を改善し瘀血を流していきます
- 卵子(主席卵胞)の質を左右する子宮や卵巣の機能低下や女性ホルモンと関係の深い『腎虚(じんきょ)』を中心に無排卵の原因とし、腎を強くする漢方で改善していきます
32歳の女性が妊活中に、排卵がないあるいは遅いと診断され、ホルモン剤を用いて排卵を促してきました。しかし、ホルモン剤での調整で、卵巣が腫れたり、結局排卵時期が特定できなかったり、副作用で子宮内膜が薄くなったりと思い通りに進まないと相談に来られました。この方の場合は、腎虚と血虚があったので、造血作用のある漢方と鹿茸(ろくじょう)という生薬を使って自発排卵ができるようになりました。
このように、卵子を成長させる力も栄養もないときには、西洋薬だけのアプローチではうまくいかないことがあります。ぜひ、根本的に解決して、元気な卵子を排卵させる身体づくりをしてきましょう。
無排卵月経についてよくある質問
- 無排卵月経がいつまで続くのか心配です
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ストレスや無理なダイエットなどの原因が終わると排卵を始めることがあります。早めに改善していきましょう。
- 無排卵月経でも妊娠できますか?
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健康な体になり、卵子の成長が卵巣で確認できるようになれば、妊娠の可能性が上がります。
- 無排卵の翌月は妊娠しやすいと聞きますが本当でしょうか?
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それは不確かなことだと思います。妊娠するには力のある健康な卵子と精子が必要ですし、さらに着床し成長するためのお部屋となる子宮も健康であった方がよいからです。
- 排卵しない卵胞はどうなるのでしょうか?
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そのまま吸収されることが多いですが、黄体化非破裂卵胞症候群となり卵巣の中で大きくなってしまえば、外科的処置が必要なこともあります。
まとめ
無排卵は西洋医学的に治療方法が確立されています。きちんと対応することで治療できる疾患です。しかし、原因は不明で再発が多い病気です。
妊娠を希望される方にとっては、不妊の原因なので、赤ちゃんが生まれるまできちんと無排卵に対して治療される方が多いのですが、子供を産まないと選択された方や出産後の方は、意外に無排卵に対して、対応されない方が多いです。確かにすぐには身体や生活には影響がないように見えますが、無排卵月経による卵巣機能の低下は早期閉経や骨粗しょう症、さらに子宮体がんのリスクを高める恐れもあるので、無排卵月経は放置せず早めに対処しておくことをお勧めします。
栄養面では、体力や血液の量が不足している場合が多いので、貧血を改善することが大切です。たんぱく質、ビタミンなどの補給が大切になります。漢方とともにできるだけ体に負担のない方法で、治療していきましょう。
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