膀胱炎は、細菌感染などが原因で膀胱が炎症を起こし、排尿や畜尿がスムーズにいかなくなる病気です。頻尿や残尿感、排尿時痛、血尿などの症状が生じるため、つらいと感じる人も少なくありません。そんな膀胱炎ですが、漢方薬を治療に用いることが可能です。ここでは、膀胱炎による泌尿器トラブルに対する漢方の考え方について解説します。
漢方の千幸堂薬局では『膀胱炎の漢方相談』にメールやLINEで対応しているのでお問い合わせください。
膀胱炎について千幸堂の3つのアプローチ
膀胱炎は尿を出すときに痛みを感じたり、いつもの排尿の感じと比べておかしいと感じたり、血尿が出たりと様々な症状がでます。そういったときに病院に行き、尿検査をすると尿の中に雑菌がいると診断され、抗生物質を飲み3日から7日で完治するというのが一般的です。
しかし、この治療は膀胱炎になってから行う治療で予防のために抗生物質を飲み続けることはできません。
このような時が漢方薬の出番です。千幸堂の3つのアプローチは、膀胱炎になってしまうときには、体が疲労している、冷えている、ストレスが溜まっているときです。この点についてアプローチしていくと膀胱炎になりにくくなります。
- 膀胱炎になってしまったときには、膀胱の熱を取ったり、排尿をスムーズにする漢方薬を使っていきます。
- 疲れがたまると膀胱炎になりやすくなるので、疲労回復の栄養素であるたんぱく質、ビタミン、ミネラルを食事指導し健康食品を使い膀胱の粘膜を丈夫にしていきます。
- ストレスが溜まって、過活動膀胱などにならないようにリラックス効果のある生薬や漢方を調合していきます。
膀胱炎になった時の対処。膀胱炎を繰り返さないようになる体質改善の漢方の両方をご紹介します。
膀胱炎の不快症状に漢方の使用を勧める理由
膀胱炎は比較的治療しやすい疾患です。抗生物質で尿道から入ってきた菌を排除することで治療できるからです。しかし、何回も繰り返すと抗生物質を何回も飲み続ける必要があります。このような状態になり、安易に抗生物質を繰り返し使いと、抗生物質の耐性が付き、抗生物質が効かなくなってしまう可能性があります。
2回3回と膀胱炎を繰り返すようになったら、体質改善をお勧めします。何よりも抗生物質を繰り返し飲むことで腸内環境の善玉菌まで少なくなり、免疫力が落ちてしまうからです。
まずは疲れにくい身体にする、そして、粘膜を丈夫にする、菌に対して戦える免疫力を持つ身体にしていきましょう。
まずは膀胱炎について知ろう!特徴や原因などについて
そもそも膀胱炎とは、どのような症状を指していうのでしょうか。膀胱炎の治療法や漢方の種類を紹介する前に、膀胱炎の特徴や原因などの基本知識を確認しておきましょう。
膀胱炎とは
膀胱炎とは一般的に急性細菌性膀胱炎のことを言います。陰部の雑菌が膀胱に侵入して、膀胱内の粘膜に炎症が生じ排尿時に痛みを感じたり、排尿回数が増えます。具体的には、急に排尿時痛や頻尿、残尿感の症状が出現します。ひどい時には炎症で膀胱粘膜が損傷して血尿も出ることがあります。女性は男性より尿道の長さが短く、菌が侵入しやすいため、男性よりも罹患率が高いです。トイレを我慢したり、水分摂取が少なくて尿量が少ない時に起こりやすいです。また、閉経後の女性はおりものも少なくなるので、尿道への菌のガードが少なくなるため、さらに膀胱炎になりやすくなります。
原因
膀胱炎の原因の菌の多くは、陰部に付着している大便の菌です。大便をしたその時に会陰部の皮膚や陰毛に大腸菌が付着します。陰部をなるべく清潔にするには、便をトイレットペーパーで拭くときに前から後ろへ拭く、濡れたパッドを早めに交換する、下痢で汚れた時は陰部を浴室シャワーで洗ったりすることが有効です。ビデ・ウォシュレットで下から上向きに水圧がかかるとき時なども、膀胱内に菌の侵入が助長されて膀胱炎になりやすいです。
女性は女性ホルモンのエストロゲンが多く分泌されている間は膣の中にはおりものもあり、膣特有の良い働きをする常在菌がすみ着いています。常在菌たちのおかげで膣の中は酸性になり、大腸菌などの害のある菌が増殖し子宮から体内に侵入するのを防いでいます。常在菌である、乳酸桿菌という菌は膣の中で、膣の上皮細胞のグリコーゲンを食べて乳酸を産生し、膣内を酸性に傾けて膣内を清潔に保つという働きをしています。。この膣の潤いの一部が陰毛を適切に湿らせて陰部の大腸菌類の繁殖を抑えていると考えられます。
閉経している方は、エストロゲンが低下することで膣粘膜が萎縮する、またおりものが減少するなどの原因で、この膣の常在菌が減り、陰部の菌の繁殖を抑える力が低下します。これが更年期以降の女性の膀胱炎のなりやすさの原因ともいわれています。
治療を進めていく上での注意点
膀胱炎を治療する際に、抗生物質は侵入した菌を殺す作用があります。しかし、抗生剤にはは膀胱壁の修復の作用はないため、炎症で破壊された膀胱粘膜を作り直すのは、自分自身の自己治癒力が大切になります。その際に膀胱粘膜がもとに戻るのに時間がかかるようであれば、止血効果や膀胱粘膜の再生を促進する漢方薬があるので、それを利用していくと早く快適な状態に戻れます。
また、一度しっかり膀胱炎が治ったのに、数か月後にまた膀胱炎を繰り返すことがあります。それは自己免疫力が低下している可能性があります。こんな時は、自己免疫力を回復させる漢方薬をおすすめします。
膀胱炎でない時でも毎日継続して補気の漢方を内服することで徐々に体が丈夫になり、免疫をバランスよく回復させることができます。自己免疫力が高まると徐々に膀胱炎を繰り返す回数が減っていっていき、時間とともに膀胱炎にならない体質になってきます。それ以外にも、すぐに疲れなくなった、すぐに風邪をひきにくくなったなど体力がつくような体質改善の効果も期待できます。
症状によって違う!膀胱炎におすすめの漢方とは
膀胱炎があるときの漢方薬や、膀胱炎にならないようにする漢方など分けてご紹介します。
膀胱炎で痛みがあるときは湿熱(しつねつ)が原因!
漢方では、膀胱や尿のトラブルは、湿邪と熱邪の影響で生じると考えます。「邪」とは漢方でいう病気を引き起こす原因、細菌などの「外からからだに侵入する悪いもの」のことを指します。
猪苓湯は、水分代謝を促進し尿量を増やし、熱邪を取り除き、炎症を抑えていきます。利尿することで膀胱内の菌を洗い流し、つらい症状を改善します!
膀胱炎で頻尿があるときは腎虚あるいは冷えが原因
年を取ると、膀胱を支える筋肉や粘膜の栄養物質が少なくなります。栄養が不足すると疲れやすくなり、余分な熱により顔や手足がほてり、口渇が現れ、さらに頻尿になります。そういう時には知柏地黄丸です。
知柏地黄丸は体内の余分な熱を冷まし、体の栄養を補い、更年期に多いホットフラッシュなど顔や手足のほてりを改善します。また、ほてりやすい方の頻尿や排尿困難、むくみの症状にもお勧めです。
頃から下腹部が冷える、手足が冷たい、関節が痛む…などの自覚症状のある方に多いのが冷えからくる頻尿には、五苓散、あるいは八味地黄丸がお勧めです。年齢や胃腸の強さにより、この処方を選択が変わってきますので、ご相談の後に決めたほうが良いと思います。
疲れやストレスから膀胱炎を繰り返す場合は気虚が原因
疲れやすさや食の細さといった気虚の症状がみられる場合は気を補う漢方薬がお勧めです。代表的な気を増す生薬(補気薬)としては人参、黄耆、大棗、白朮、甘草などが挙げられます。補中益気湯などです。日常的にストレスが多い方には気の巡りを改善する生薬(理気薬)である柴胡、枳実、陳皮、半夏、厚朴、香附子などを含んだ漢方薬が検討されます。柴胡疎肝湯などです。他にも冷え性(冷え症)が目立つようなら身体を温める生薬も使用されます。清心蓮子飲も病院では原因不明で繰り返す膀胱炎にお勧めです。
漢方についての理解を深め、心身ともに健康な状態にして膀胱炎を克服しましょう。
東洋医学で膀胱炎を理解すると疲れや冷えにより邪が入りやすい状態になっていると考えられます。西洋薬の抗生物質で治療することはもちろんとても大切です。なぜならば、膀胱炎の状態を放っておくと、菌が左右どちらかの腎臓まで侵入して「腎盂腎炎」(じんうじんえん)となり、悪寒が出現し、徐々に片側(左右どちらかの患側)の腰痛が出現して発熱をきたします。これは大変危険ですので、早めに治療していく必要があるからです。
また、膀胱炎がしっかり治らない場合や、血尿だけが継続する場合に、原因として、尿が出しきれずに残尿がある排尿機能障害がある場合や、尿路に結石や腫瘍がある場合もあり、超音波検査などでの確認が必要となります。適宜、医療機関にご相談されますようにお勧めいたします。
ただし、いちばん大切なのは、身体の自己回復力や治癒力が弱っている状態であることを認識し、常に健康な状態で過ごせるように養生していくことだと思います。
気血水のバランスを整え、たんぱく質、ビタミン、ミネラルなどの栄養素で細胞一つ一つを丈夫にして、健やかに過ごしていきましょう。
千幸堂では多種多様な漢方と栄養素を揃えています。薬剤師と管理栄養士がタッグを組み、アトピーの悩みに合わせてベストな漢方と栄養素を処方できるので、是非、気軽にご相談ください。
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